他所のメーカーや鍛冶屋さんが造った包丁でも素晴らしいものがあります。
高橋の包丁は、それまでの包丁のできかたと違い、自動車を造る型鋼の考え方が
あります。自動車のプレスに使う型鋼は何千枚もプレスして型が歪んだり
割れたりするとラインが停り、大変な損害が出るので型鋼を焼入れして
冷却してすべて同じ硬度と粘りが必要なんだそうです・・・
普通の人は、焼入れは温度を上げるのが焼入れと思いがち・・・
温度を上げて冷却して初めて硬度が出るんだそうです。固くすると脆さがでるので
今度は焼戻しによって柔らかくするとか粘りを出すとか・・・割れない欠けないように
するんですね・・・
日本刀や昔からの刃物の造り方は熟練の感と技・・・これは科学もない時代に
よく考えたものだと思います。日本刀でも刀と脇差の刀は造り方が全然違います
和包丁の本焼きは、脇差の刀に近いです。脇差でも同じように造るのも有るそうですが
包丁に近い脇差はひとつのハガネから作るので全体が焼入れで固くなるのは
割れやすくなると困るので粘土を乗せて厚みを変えて温度が上がらないように
したり、水に入れた時に急激に冷えないようにとか波紋の上は焼きが入らないように
考えられて作られたのでしょう・・・なので刃物の中身は強度が違います・・・
庖丁や刀は刃の部分が強ければ良いのですからそれで良いわけです・・・
ですがプレスの型鋼は何十トンの重さが加わるのですべての硬さと粘りが
同じで無ければいけないわけですね・・・
それと同じような包丁を造れば小さくなっても同じ切れ味で最後まで使える
包丁になるし、均一なので刃が減っても砥げば同じ切れ味で使えるわけです。
普通は、使い込むとあまくなるので買い換えるんですが・・・
そうでなくては刃物屋が儲かりません・・・・包丁は5年ぐらい持てば良いわけです。
簡単に研げて減ってあまくなってくれるのが良いわけですね・・・・
高橋の刃物では次に買いに来るのは数十年後や柄が腐って修理では
儲からない・・・東京の大泉学園の刃物屋さんで数十年前に買った包丁が
良くてあれと同じ包丁を買いたいというお客さんの包丁は高橋さんの包丁なんだよ・・・
と教えて貰いました。お客さんは喜んでくれるけど・・・・ですって・・・
親父さんの習った包丁造りと技術者の考えの違い・・・親父さんが納得しても
商いとしてはね・・・お客さんは結局安い買い物をしたことになるのですが・・・
まずは、焼入れの違いのお話でした・・・
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