2012年9月27日木曜日

高橋刃物製作所 OEM包丁

神奈川県で手造り量産してる包丁鍛冶屋は高橋が最後だったと思います。
50年の歴史が終わり工場は少しずつ解体されていくのを見ると辛いです
この高橋刃物製作所は光友印で造って居ましたが、元々は刃物屋のOEMがほとんどです
大阪の鍛冶屋さんもほとんどがそうで、誰が造ったか判らない物なんだそうです。
親父さんたち兄弟が修行していた源正金という鍛冶屋は前回の画像でも判るように
戦後の金属がない時代に社長が爆弾で壊された鉄道のレール等を何処からか仕入れて
包丁を作っていたそうです。戦後の鉄のない時代に刃物の鉄を仕入れるだけでも大変で
何処からか仕入れていたそうで、造れば売れる時代だったそうですよ。          
東京タワーを造るときも鋼鉄が日本に少なくて、戦争が終わって使わなくなったアメリカ軍の
戦車や軍艦を溶かして鋼鉄の東京タワーを造ったぐらいだったそうです・・・・         

そんな時代ですから包丁は造れば売れる時代で、関東の洋食屋やホテルのコックは
ほとんどが正金の包丁を使っていた訳なんでしょう?修行時代の店でも正金の包丁が
いっぱい有りました。よその店でもそうです。ですが造れば売れる・・・段々と手を抜いて
いい加減な包丁も売ってしまうので判る人は他の包丁を使い出して売れなくなり・・・・・・
悪評で使う人が居なくなった・・・・高橋のおやじさんたちもそんな仕事が嫌になり独立・・・
ほとんどの鍛冶屋が重油や電気釜で包丁を造るようになったのもこの時期からで    
親父さんは、脱炭(包丁の炭素が減る)や硫黄などの不純物が入るなど、火造りでの作業が
製品のランクを落ちることを嫌がりずうっと炭とコークスを使い続けてきました。       



炭素の火だけで金属を錬る火造りなので高橋の刃物は脱炭せず、逆に浸炭していきます。
今では鋼材に最初から炭素を含ませ炭素量1.3とか1.5とかの白紙や青紙や特殊鋼などが 
手に入るので、少し脱炭しても大丈夫なんだそうです。うちは青紙2号だからとか言っても
火造りで重油でやれば脱炭して2号が3号に・・・ほとんどがこんなもんです・・・・・・・・・・・・
親父さん兄弟が造ると3号が1号なみの炭素量になるほど練込みますから切れどまりが
遅れ、よく斬れて砥ぐ回数も減るので長持ちする包丁になるのだと思います。       
ここで大切なのが強力鍛造で鉄を錬る・・・練らないと浸炭しない?親父さんのこだわりが
鍛造作業です。売ってる機械では力が足りないから自分で造る、改造する・・
こんな強力鍛造する鍛冶屋は他にはあまりないでしょう?
材料の無駄と経費がかかりますからね・・・・・・・・
ましてステンレスは硬いので鍛造は強力で無いと出来ないんだそうです・・・・・・・・・・
他の鍛冶屋がステンレスで良いものを造れないのはステンレスに勝つ機械が
必要なんだそうですよ。高橋の刃物は全て強力鍛造なので
ギュッと絞めてあるので密度が高い・・
なので耐久性があるので減らない包丁なんだと思います。
    実際にペティーで20年も使えるのは他に見たことが無いのです。                                                      

この若い料理人も最近高橋の極上牛刀を手に入れて、うちの店で砥と鏡面の
作業を勉強しに東京からわざわざ仕事の後に来てやっています・・・・・・・・・・
 高橋の刃物は見た目より製品のクォリティーなので、よその包丁より見た目が荒いです・・・
 鏡面にするにも鍛造や研磨の傷が・・・・これを鏡面にするとすごく綺麗になります。
 これが大変でして耐水ペーパーで180番から順に2000番までやってバフがけで
 出来上がりなのですが、それから刃を付けて行くのがまた大変でしてハマグリ刃まで
 持っていくとなると大変な作業です・・・笑

 砥いだ包丁で紙を切って切れるのは当たり前・・・紙に包丁の刃を動かさないで
 すぅ~と入っていく砥ぎで出来上がりです・・・これは数をこなしていかないと出来ませんが
 じきに出来るようになります。若い料理人はまだまだ出来ないようで????
 今週末も来るそうです・・・(笑)
  熟練が良い包丁を造っても、使う人が包丁を使いやすいように育てるのが出来無いと
  どんな包丁も同じ・・・包丁は育てるもんです・・・・


 ここからが本題・・・OEMです。
  高橋刃物製作所も包丁を問屋へ収めるのが昔ながらの仕事でして、刃物屋から
  注文が問屋に行って刃物屋の刻印を押して問屋に収める・・・なので使う人は何処で
  造られたか判らず。刃物屋の言いなりでしょう?
  高橋刃物でも自分の所の売店と問屋に少しだけ光友印の印を入れて売っていますが
  殆どは、刃物屋の印を押して問屋に出します。日本中の刃物屋の印が有りまして、
  今回の廃業で全て傷を入れて廃棄処分をしました。傷を入れる前に金属に入れると
  犯罪なので・・・紙に押してみました。数百は有った中で有名な刃物屋の印を試しに・・・
何故?犯罪なのか?いい加減な包丁にこれを押して売れば喜ぶ人が居る。
詐欺ですよね・・・・笑。 なので実は高橋刃物で造った包丁を使ってる人も
大勢いるという訳です・・・・・・・・  
あそこの包丁以外ダメ・・・ステンはダメよと言い切る職人もいますが
意外と高橋刃物が造った包丁を使っているかもしれないという訳ですね
                         
名前に傷を入れて処分しましたが・・・欲しい人もいるでしょうね?

8 件のコメント:

  1. 知らず知らずに高橋刃物製作所の包丁なのかもしれませんね(^^)

    自分の包丁は、店に出張でやってくる包丁屋さんから購入しました。もっと早く高橋刃物製作所の事を知っていたら、一式揃えたかったです…

    いま使っているのは本源正則って包丁なのですが、高橋さんと関係はしていないのかな?

    店の若い子が包丁を買おうとしているので、今度、高橋刃物製作所に連れて行こうと思ってます。

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  2. 匿名様コメントありがとうございます。

    本源正則のハガネの包丁を砥いだ事が有ります。
    銀座スエヒロのコックが使っていました。筋引き?だったと記憶しています。
    やはり包丁屋からの購入したものでした。
    軽くて使いやすそうでしたよ。歴史は正則さんの方が古いと思いますよ。
    高橋のオヤジさんは、良いものを造りますがみんなと仲良くしようとしないので
    築地でも最後まで付き合ってくれたのは、東源正久だけ・・・
    同じ鍛冶屋なので何処かでツナガリが有るかもしれませんね

    クレソンの名前を出せば少し安くしてくれかもしれません・・・(笑)
    30%引きをやってます。プロ用の大きな包丁はプロしか買わないから
    50%引きしてます。斬れは砥ぎしだいですが、長持ちします。

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    1. 早い返信ありがとうございます。

      本源正則…、確かに使いやすいのですが、当時は言われるがまま買い揃えたので何のこだわりもなく、自分の包丁が鍛造包丁なのか型抜き包丁なのかもわからないです。

      若い子は、どうやら父親から就職記念に金剛兵衛源盛高という包丁を買ってもらったそうなのですが、洋包丁が欲しいようなのです。笑

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    2. 多分ですが?それほど大きくやってる会社ではないと思いますので
      昔ながらに鍛造で造ってるのでは無いでしょうか?
      ハガネ系の包丁なら鍛造でしょう・・・

      若い子を育てているんですか素晴らしい・・・
      盛高さんは、九州の鍛冶屋さんですね。せっかく父上さんが買って
      くれたのだから、良い包丁に育ててつかいはたしてあげないと
      もったいないですよ。
      HP見ましたが、割り込みの黒皮付きだとお店では少しな?って
      気がしますが鍛冶屋の考えで造ってるので、考えに合った使い方を
      したらいいと思います。プロになるなら錆びる包丁を錆びさせずに
      使えるようにしてから、高橋の包丁を使うほうが伸びると思えます。
      ただ、店を閉めるので無くなると買えませんから、買っておくのも
      良いと思います。斬れだけなら高いも安いもちゃんと手入れを
      すればいい訳でしょうから、大事にするもんだと思います。

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    3. 松根康人
      はじめまして、マサカネの包丁と聞くと横浜駅の相鉄側の4階の店舗を思い出します

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    4. へ~? 市場の場外や刃物屋で購入していたので知りませんでした。
      一世を風靡していたらしいですからね・・・
      貴重な情報有難うございます。

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  3. 何度か書きこみをさせていただいております。先日あるところで「久元」の銘がある包丁を裏返してみたら「光」とありました。お店の人の話だと「この包丁、安くて良く切れると評判なのに、もう作らないんですよ」。間違いなく高橋さんのところのものですね。私は光友を持っているのですが、一瞬買おうかどうしようか迷いました(笑)。

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    1. 包丁を見ないとどうか判りません・・・
      包丁のアゴから鍔の形とか包丁の形で判断するか?
      WEBで探してみるとそこにある画像の包丁は」明らかに
      形が違いましたが?
      逆に、違う鍛冶屋さんが造ったハサミやおろし金も
      高橋で売っていたので、得意不得意で商品を買いあって
      いるかもしれませんね?
      安いなら?高橋のハガネ?なんでしょうか?

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