2015年4月18日土曜日

庖丁の魔界の世界の其の一

この仕事になって34年・・・

洋食屋など安いステンレスか古い店ではハガネの牛刀ばかりです。

一日の仕事が終わると店の何本の庖丁を研いで帰ります。

砥石の性能も庖丁の性能も何も考えず、速く研いで終わりにして

店を出ることばかり考えて・・・

それが数年すると庖丁で沢山の仕事をするようになると

店の庖丁でも使いやすいとか使いにくい、研ぎやすい研ぎにくい・・・

庖丁を選んで使うようになる・・・そうすると自分の庖丁を欲しくなる・・・

西洋料理だと庖丁を使うより、ソースや料理の技術の方が熱心で

今考えると酷い庖丁の使い方をしていたものです・・・

朝一番で野菜の仕込み、キャベツなど一箱ですから大きなキャベツ

6個とか時間までに出来ていないといけません・・・

最初は動画やWebで出てくるような小分けして切るのですが

あるときに親方が厳しくてどんどん人が辞めていくと小僧の俺でも

庖丁を使ってやらないといけなくなり、人が減り親方も切るのですよ・・・

自業自得だろ~!人が辞めて居ないのだから・・・なんてね?

そうするとでかいキャベツを大きな牛刀でキャベツを切るのですが

半分に切り、それを今度は水平に切り上半分を切り始める・・・

引き切りを始めて見たのも最初で、それも小分けした俺たちが切った

千切りより細いし長い・・・盛り付けるとフワッと高く盛り付けれるし

実際に使う量は少ないのですよ・・・

200円のキャベツが200円のレタス3個、4個分の量になります・・・

一人分のお値段が下がる訳で庖丁を使えるか使えないかで

儲けが変る・・・なので真似をして必死に毎日毎日野菜と格闘です。

これが、200円の物を2時間かかるとレタスなど手でちぎるだけなので

人件費は逆に安くなるので、負けないように速くできるように・・・

今度は、自分の安い牛刀では最初は1個切ると切れなくなってくる・・・

研ぎ方を考えて2個までは切れるようになる・・・

今度は切り方を考えていくと段々と一箱切っても良く切れるように

研ぎと庖丁の使い方が一緒に良くなってきたのでしょうね?

高橋の牛刀になって、ステンレスなのに研ぎやすく?

ハガネ並みに切れる・・・それで錆びないから怒られない・・・

他のステンレスなど研ぎ難いは研いでもバリが多く出て・・・

この時期のステンレスは、良くなかったので高橋の牛刀を買うときは

考えましたよ・・・また同じようなステンレスならしんどいなと・・・

貧乏だから高橋では一番安いステンレスの光!

ですがね?研ぐの早いしバリも少ないし?錆びないし・・・

これは凄いと大喜び・・・それでも他所のステンレスよりは高めですから

良いものを手に入れたと喜んで使い続けていましたよ・・・

切れるから親方の真似をする切り方で少しづつ出来るようになって

自分にはお宝の庖丁になった訳ですね・・・

それでも金属が何々とか何も考えていなくて、ただ良い庖丁だと?

お客に見せたらそれは横浜の旭区に在る鍛冶屋ですよって聞いて

ビックリ! 横浜に鍛冶屋が有るのも凄いけどきっと岐阜か堺の庖丁

何だろうと考えていましたから、さっそく高橋刃物に行った訳です!

そうしたら自分の宝の庖丁は、高橋ではステンレス系では一番安い

部類でして・・・ここからが庖丁の魔界に入っていった訳ですね・・・

俺様の光は最高なのに?一番下かよ?・・・・

親父!なら極上ってこれより切れるのか?って喧嘩腰?笑

まぁ~親父さんは庖丁の事にウンチク言うやつは話さないし

客を選ぶ・・・機嫌が良いと話すときも有るし・・・

逆に気に入られると話が長い・・・魔界の案内人になる!

それで極上の庖丁が一本10万以上するのが飾ってあるので

こんな高いの売れるの?・・・って聞くとたまにねと返事が来て

悪いけどお客さんに使いきれるかな?だと・・・・

おたくの庖丁を20数年使ってるというと逆にそんなに庖丁使ってないな?

そんなことを言われました。それでは庖丁持ってきなと言われて・・・

ぺティー一本持っていって見せると、へぇ~うちの庖丁をこんなに綺麗に

使ってる人初めてだよと・・・・・

ピカピカだけど、鍔の溶接の部分が砥石には当たらないので

僅かに錆びてると言うか綺麗にならないところを見て・・・

確かに数十年前の溶接の痕だ! この当時の溶接はアルゴンなど

無い時代だったからどうしてもこうなるんだよな~と

こうなると親父さんに認められて売らないで取って置くからとか・・・

後で4男さんが高くて売れないから大丈夫だよとか?笑

それで高価な極上と極上本焼きを20数万円で・・・・

ここから更に魔界に・・・・今度は砥石を選ぶ庖丁なんぞを買ったから

どんどんとお金が飛ぶ飛ぶ・・・・常識から言えば牛刀など3万が良いところ

10万以上で研いで切れなければゴミですから・・・・

砥石も増えてやっと使える切れ味までが時間が掛かった・・・・

極上の金属は鉄板の裁断に使うダイス鋼・・・親父さんが鉄板が

切れるんだからこれで造れば面白いかな?で造られたので

元のダイス鋼が高いからこの金額なんだって?

ですが切るのは肉や野菜ですからここまで要るの?ですよ・・・

光より硬いけど、硬くする分には硬度計で天辺に・・・

でもこんな硬ければ研げない・・・自分で研げなければ使えない・・・

それで今度は当時で一番研磨力がある砥石で研げる硬さまで

落として造ったそうです・・・なら柔らかいから意味がないのでは?

ですけど? 使い続けると硬さだけでは無いと気がつく・・・

硬度はそれ程でもないのだけど、カチンカチンの庖丁並みに切れる?

炭素量は1.5%の鋼材が造る作業で浸炭して出来上がると1.8%ぐらいに

上がっていたりする?普通は脱炭するほうが多いらしいけど

高価なコークスで炭素の火の中で造ると浸炭してしまうらしい?

この辺で魔界の一部を知ると、おやじさん曰く日本刀など硬度は

それ程でないのだそうだ?硬いと折れるから逆に硬くした後に

今度は丈夫にする為に柔らかくする・・・魔界だわ?

刺身庖丁など特殊な作業には兎に角硬い方が良いらしい?

だけど扱いは丁寧にしないと折れるからな!刃も欠けやすいし・・・

そんな訳も有って極上の高度は62ぐらい?ですが刃は硬く欠けても

ごく小さくかけるくらいなので安心・・・これでどんどんと謎が増えて

親父さんに通い始めた訳です。


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