2012年11月3日土曜日

和包丁の裏すき

和食の職人に聞くと和包丁の裏すきは切った物が張り付かない為とか
張り付かないから抵抗が無い・・・10回砥いだら裏を1回砥ぐ表がまだあるのに・・・
裏のハガネが減って薄い・・・もうじきハガネは無くなりそう・・・これでは15年も持ちませんよね

ハガネは、硬いので裏すきが無いと砥ぐのが大変・・・

地鉄でカバーして薄く少量で事が足りる・・・ように作ってあるんです。

なので、最後にバリを取るように、ベタ砥ぎではなく少しあげて砥ぐと裏のハガネが
減りにくい・・・裏が両刃のようになる前に修正するんですが・・・

裏すきは、物が張り付かないようにではなく、薄いハガネで平面が楽にできるように
研げるって理由がホントなんですね

裏すきが無ければ裏の平面を全て砥ぎならす必要があるんです。
これが大変・・・高価なハガネを切る仕事もさせないで減らすのは勿体ない・・・
そんな訳なんですね・・・

全鋼と霞みの包丁・・・本来良い鋼と地鉄の組み合わせが安く省エネ?

これで良いんです・・・ですが、ハガネは引っ張る、地鉄は伸びる・・・

その関係がうまいと真っ直ぐな包丁の形が変わらないのですが・・・

時間と共にハガネが引っ張って出刃でも湾曲してきます・・・

それを嫌って全鋼の本焼きにプロの料理人は使いたいんです。

高価だし、よく切れるし、変形しにくい・・・霞だってハガネの良いものを使えば

本焼きも霞もハガネは一緒ですから・・・ハガネは衝撃と温度によって弱い・・・

これが問題で割れたら終わり・・・なので腕が有って包丁の扱い方を知ってないと

えらいことになるんです。15年ぐらい修行して本焼きを買いなさいとか・・・

お店が言う理由です。なので切った物が張り付かない為なんて言う料理人は

包丁と向かい合ってないって事・・・・

洋包丁でも所々ディンプルのような凹みのある包丁が売れた時があるんですが

凹みの中を清潔にするのが大変で・・・使ってるやつは化石の頭?

そんな包丁でそのへんが色が変わってる包丁をよく見ます・・・汚いだろうに?

ただし、鮭などの粘りがある魚とか肉とか沢山スライスする時は有り難い・・・

布巾で拭き取る回数が減るからね・・・

裏すきは、研ぎやすいように考えて作られてるんです・・・

それを理解して砥ぐと長持ちして良い形の良い包丁になるんですね・・・




6 件のコメント:

  1. クレソンさんは和包丁のことにもお詳しいのですね。
    霞は歪みが出やすい、ステンレス系はかなり出ると堺の刃付け屋さんに教えてもらったことがあります。
    先日の出刃の記事、やや大きめの小刃をつけるような感じでしょうか。
    ところで高橋の出刃はステンレスの本焼きと考えいいんでしょうか。

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  2. 裏のミネの方まで削ると霞は早く終わってしまうし
    裏すきがなくなれば研ぐのが大変でしょうということです。
    小刃・・・ほんとに僅かな感じです・・・やりすぎは両刃になるし
    ダメにします・・・文章って難しい・・・小刃作ると凄く切れ味は
    上がりますが、これは長く考えるとダメですね・・・ほんとに僅かの
    感じでやってください。バリの部分だけの感じというか・・・

    高橋のステン系では極上の金属を水焼きした物だけが本焼きです。
    全鋼なので間違い易いのと箱の印刷が本焼入(ほんやきいれ)と印刷されてるので
    間違いそうですが、本焼きではないです。
    すべての包丁が強力鍛造してるのが売りですが・・・

    霞は歪みが出て当然なのですがそれをどうコントロールして作るかが
    職人の腕、ハガネの引っ張りを地鉄(軟鉄)が伸びてどう抑えるかが
    堺の職人さんの上手いところなんだと思います。
    ハガネより沢山の地鉄を使う霞みの包丁の加減で歪みの出方が変わるそうですよ。
    ステンレス系はどの位の炭素量なのかで引っ張るりょうも変わるので
    鍛冶屋の技量で変わると思うのですが・・・
    後、ステンレスでも炭素量やいろいろの問題で歪むんだそうです・・・
    高橋は、その点を結構昔から気にしてセブプロ?サブプロ?どちらだったか?
    焼入れ後にドライアイスで数時間冷やす事で数ヵ月後の状態になるように
    やってました。ドライアイスで冷やして固くする目的ではなく、安定させる為
    何だうです。

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  3. 先日失礼なコメントをした編集者上がりです。
    丁寧なご回答ありがとうございます。
    鯛の兜割りもしたいんで新しい出刃でもと考えていたところです。出刃は欠けやすいので研ぎやすい白三のものを検討していたんですが、クレソンさんの記事を読むと高橋の包丁が欲しくなってしまうんです。鰻針まで切ったなんて話を読むと我慢できません。
    高橋の包丁といえば洋包丁なんでしょうが、9寸や尺のものしか残っていないので素人には使いこなせません。記念品として出刃でもという心境です。

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  4. いえいえコメント有難うございます。
    出刃は欠け易い・・・これは間違いと思います。
    ちゃんと兜割りをするときにタイの何処に刃を入れるかで
    牛刀でもちゃんと切れますよ。タイの歯のどの間に刃を入れて
    どう刃を動かすかでちゃんと切れるんだそうです。
    叩くから欠ける・・・和食の職人の技術なんです。それが判らないと
    どんな包丁でもダメだと思いますよ。ごめんね・・・

    普通できないと思える仕事をスパッと切ってしまうのがプロ
    前にも書きましたが野菜でも魚でも切る時に目があるんですよ。
    鰻の事も親父さんの包丁だけの仕事ではなくて老舗の鰻職人の技が必要で
    俺にも針を切るほどの技術はありません・・・

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  5. 仰っていることなんとなく分かります。
    関節みたいなところに刃をうまく入れると刃こぼれしないでさばけるという話はよく聞きます。素人でもまぐれでたまにできることはあるんですが、いつでも確実にできるのがプロの方なんでしょうね。

    先ほどクレソンさんのシャトー剥きとたまねぎのみじんぎり、キャベツの千切りの動画を見ていました。見事な包丁さばきです。さすがプロです。料理もさぞかしおいしんだと思います。

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  6. タイの兜割りは、まぐれでも切れると嬉しいですよね。
    洋食ではまずやる機会がありません・・・
    なんでも顎側の歯の間とかに包丁を入れるとかしっかり握って
    やれば良いとか・・・寿司屋のオヤジさんが言っていた記憶だけです。

    包丁の使い方はまだまだですよ。
    自己流ばかりでして、味も最初の親方に近づけるようにしてるだけ・・・
    俺にとっては料理の神様みたいな人でして、なかなか越せません
    何時までも背中を追い続けてるだけかも・・・そんなもんですよ・・・

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