2012年8月26日日曜日

包丁砥ぎって難しい

高橋刃物に毎日のように研ぎ直しに依頼が有ります。

使い込んで斬れなくなったもの、刃がガタガタになったもの

明らかに間違った砥ぎをしてるもの・・・・いろいろです。

和食用の包丁は、その作業によって色々な形も有るし刃の角度も有ります

洋食用にも数種類有ります。ですが?家庭用はほとんどお気に入りの包丁で

いろんなものを斬る・・・ココが問題で切れ味だけで薄く砥ぐと一般の人では

直ぐに斬れなくなります。使い方や切り方や力の入れ方いろいろ・・・

自分用は、シャプトンの5千番あずき色のやつから9千番に行って

12千番のクリームで仕上げています。いちようシャプトン5千番は仕上げ用です

ですが、これで薄く砥ぐと、拡大して見るとガタガタ?のこぎり状態が大きいのです

これでは薄く砥いだとしても刃がめくれたりしてきれなくなります。

薄く砥いで刃先の数ミリを起してあまい角度に均してあげると長持ちします。

それから12千番で砥ぐと良い刃になると思います。

なので薄ければ良いというのも使う人によってはダメな研ぎ方かもしれません。

我が家の嫁専用も43本焼きの牛刀ですが、最近気がつくと元の包丁を使うことが多い。
今朝。どうした?切れなくなったか? と聞くといや、切れるよ。と

じゃあなぜ使わない?と聞くと 研ぐたびに何か?硬いもの切った?
と聞かれるのが嫌 見たい(汗

これ等はまさによくある話です。

うちの店でもお客さんの包丁を研いであげます。

大体が刃元が細かく欠けています。一本でなんでも切るのだから切っ先は薄くても

根元は角度を起こさないと欠けるのですね

両刃と片刃、日本の牛刀は両刃なれど右用左用がある様に少し片刃に近いんです。

なので最終的には同じように研ぎます。 ただベタで砥いでる柳ならよっぽど自分のペティーの

方が先端は鋭利です。ですが砥が上手い和食の人の柳刃は糸引き刃を付けるので

同じぐらい鋭利です。それはおかしいと?思う人もいるでしょう?

糸引き刃は刃を起して甘くするわけですから・・・・これが大事でこれをすることで

刃持ち・・・長斬れするんです。 ただ薄くするだけだと取りきれていない魚の骨で刃が曲がるんです

それに負けない角度が必要になるんです。 自分のペティーは皮むきやトマトきゅうりしか切りません

なので薄くてOKなんです。ですが僅かですが糸引きに少しします。

糸引きの時は力を入れないので刃線もキレイにできるという都合も良い

片刃での間違いな研ぎ方では裏砥ぎを毎回して裏すきが無くなる人がいます。

これではなんで裏すきが有るのか理解していない訳です。

ハサミなども片刃・・・あれは裏砥ぎしたら使えなくなるので絶対ダメ・・・当たり前

バリを取るだけ。柳刃はハサミのようにかみ合わせがある訳では無いので

裏は、バリを取るように少しだけ刃先をあげてなぞると強い良い刃が出来るんだそうです。

片刃は最初の最初だけ形を作るために裏砥ぎをするだけにして、後は砥いだらダメ

そんな訳が色々有るんです。

次に、砥石の使い方・・・どんなに上手い人でも真ん中がだいたい凹む・・・
凹んだら直しをする。これで高価な天然砥石だと勿体ないと思いませんか?
研ぐ時にいろんな場所に移動しながら研ぐ、そして砥石を前後に回してやると
砥石もキレイに減ってくれます。砥石が平面でないとうまく砥げませんから
修正は必要ですが、砥ぎながら修正するように砥ぐ・・・・
力で砥いではいけません・・・砥石に砥いでもらう・・・逆に言うと包丁で
砥石を削るなという事 人口砥石でも数千円もするんだからうまく使えば長持ちします。

包丁もうまく使えば仕上げ砥石だけでOK、しかしこれが難しい・・・・文字に表現できない。

同じ高橋の包丁でも種類や形だけでも研ぎ方を変えています。
キャベツの千切りなどは厚みの有る包丁より薄口の包丁の方が切り易い・・・
高橋の牛刀は先端が上がってるので特注で親父さんに薄口の先端が上がってない包丁を
造ってもらいました。大きなキャベツだと先端が上がってると、そこが切れずに残ります。
それではダメ・・・更に大きな包丁にすると良いのですが意味ないし・・・
キャベツの千切りが短いと千切りでは無いのです。キャベツのコッパではダメ・・・

この包丁は自分専用に造ってもらいました。
刃も自分用に砥いでるので、他のコックに使われると直ぐにきれなくなります。
まな板を叩いてしまうからです。
包丁は誰がどのように使うかで、研ぎ方も変わるんです。こればっかりは仕方がない・・・

本来、包丁は他人に使わせないし、あげない・・・あげるなら新品を渡します。
自分が使いやすく斬れると思っても他人には使いこなせない事もあるからです
人それぞれなので、悩んで考えてきたわけですからどんな包丁だろうと
その人に合った砥ぎ方をしないといけないわけです。

使いこなせない奴に限って物のせいにするし否定するってオヤジさんがよく言います。
男として小さい奴に限って分かったような批判をする・・・
だから客でも使いこなせなさそうだと、極上より光にしたらって言う
怒って帰るやつはそれまでの奴さ・・・・って・・・・・
最近、自分もそんな話がわかるような気がします。




2 件のコメント:

  1. エマンセ、アッシェ、ジュリヤン…同じ切るでも、刃の使い方、使う場所が違いますもんね。

    エマンセにしても、みんな垂直に包丁を落とすだけ…なので、自分はいつも新人の子には包丁の刃の部分を握らせて

    「こうやって刃の部分を握ってても切れないけど、ここからオレが包丁引いたら手切れちゃうでしょ?」

    といって、

    「だから切る時は刃を動かさないとダメだよ」

    と教えています。

    研ぎの話とは関係ないですが、ちょっと使い方変えるだけで切れ味も変わるし作業も楽になりますよね。


    長文失礼しました…

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  2. 薄切り、みじん切り、千切り・・・洋食は同じ牛刀で場所を変えて切りますよね。

    駆け出しの頃は、ペティーの刃を持って人参のグラッセを作るのにシャトーに
    するときが怖かったな・・・思い出しました。上手く手首を動かせれるまで
    苦労した記憶が有ります。新人だったのでペティーが長くてネ・・・

    全部出来ましたと言ったら、全部みじん切りにさせられてミートソースの具に・・

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