2012年7月13日金曜日

高橋刃物製作所の鋼材の歴史

オヤジ様の記憶と聞き出した事って、たまに食い違いが有ります。
60年もやってると金属を何でやったか名前を忘れていたり・・・材質が違ったり・・・
これが厄介でして、ブログに書いた後に違っていたりして・・・D15にはタングステンは入ってないんだと・・・(#^.^#)
タングステンが入った青鋼が、錆びると体に悪そうな色のサビが出て、包丁に使うのは嫌だな?
って事で、D15にはタングステンは入ってません・・・訂正。

戦後まもなくの昭和23年に加治屋に入り、独立後修行時代から使ってる鍛造機械を譲り受けて
親父さんと次男さんとのそ父親で昭和30年代から独立しやって来たそうです。
初めは、日本鋼【ハガネ鋼】で始めてステンレスを始めたのがその後で昭和40年代に
ステンレスで切れる包丁を開発、畳包丁で斬れて長持ちする包丁で苦労して高橋ならではの
技術が生まれたそうです。
丁度、この頃に愛知製鋼で働いていた渡辺さんが元々鍛冶屋の仕事が好きで、会社の寮に
近い高橋の仕事場を見学に来て「当時既に昔ながらの鍛冶屋は無くなり、とても興味を
持った」のだそうです。
仕事で、当時開発されたSX4を千葉の金属加工屋に持って行っても固くて出来上がらない・・・
それなら高橋さんの所へ持っていって試して見ることにしたのが二人の始まり。
この金属は当時、愛知製鋼で開発したダイス鋼の種類で金属板を斬るシャーリング?の刃など
に使う物だったそうです。それをやって出来上がった・・・このSX4はサビが出るのでステンレス鋼で
何か良いものないかい?って話からオヤジさんが特注で作らせた初期のステンレスが
昭和40年からの物で、これが25年ぐらい前に買った光のペティーです。
これが厄介な金属で圧せんして板にするときに、ローラーの軸がブチ折れる程のもので
暫くして製造中止・・・これが今では幻のステンレスでして結構造って出荷した物
これが評価されて段々高橋は日本鋼からステンレスへ移行してきました。

今では無理な、造っては愛知製鋼の検査室で顕微鏡や硬度テストなどなど・・・秘密に
やってもらったんだとか・・・高額な検査費用なしでやったのでむちゃくちゃです…(#^.^#)
この時期に愛知製鋼の渡辺さんが見学に来なければ科学的な証明は無かったはずだし
今の製品も無かったかもしれません。それまでの日本鋼と特殊鋼の性質も違えば
焼入れの温度も違う。渡辺さんが会社から受験用の温度計などを秘密に持ってきて
親父さんに温度を目で覚えろとずいぶん時間を掛けてやったんだそうです。

科学的な専門家に教えてもらった事とオヤジさんの研究心で出来上がった包丁は
今度は金属の専門家が判らないほどの包丁が出来上がりました。
渡辺さんに聞くと今の極上の金属で水焼きや油でやると専門家は間違いなく
割れてしまう。「高橋さんは、中途半端なやり方で上手くつくるんだろう?
しかし、その中途半端が難しい・・・」 「焼入れの温度が少しでも高いと、後で
ハンマーで叩くと間違いなくバラバラになる」あの人しか出来ない・・・・だとか?

光のステンは、今は普通の刃物用ステンレスなんだそうです。ですが?
強力鍛造をしているからか?他所のステント違います。何処が違うかは説明
しにくいのですが・・・
次に、特上ステンレス光ですが、焼入れ後柔らかくするのが光なら
焼入れ後にある加工で更に固くなるのが特上光なんだそうです。
特上光はプロ用としてます。昔はここまでで・・・・

D15の前にD10という特殊鋼が有りまして、この鋼材でオヤジ様がいろいろ
試し始めて、空冷、油、水焼き・・・これが良くて刃物好きに・・・
D10の本焼き牛刀は、一本だけ工場の奥の棚にあります。・・・・

D10から進化したD15が出てきたので棚にホっぽいて有るのですが
あれよりD15の方が良いから売らずにそのままなんだとか?少し勿体無いぞ・・・・・・
極上はD15ってダイス鋼ですが、普通は空冷です。包丁を薄くすると本焼きや
油では割れる確率が多いので空冷です。といかこれは普通です。
すげ~ほど斬れるので特上の上の極上の名前が付きました。
極上は、最後にサブプロ処理をします。これを包丁で始めたのも高橋が最初。

特注か気まぐれで造っていたのが本焼きと油・・・・これらは割れないように
包丁が厚く造ってました。材料はステン系はD15、日本鋼はヤスキ鋼・・・・
D15でここまでやる必要は無いよ。ってオヤジ様は言います。
切れるし長持ちするけど砥ぎがえらく大変だろうって・・・・
頼まれば作るが使いこなす人がいるか?だって・・・(#^.^#)

そんな事で錆びない包丁を造り続けて来て、D15も特上もサビないわけではない・・・
刃物鋼より少ない炭素量で斬れる包丁が有れば良いな~って考えて出来たのが

特上43です。これ炭素量0.43パーセントなので焼入れ出来ないステンレスです。
ですが、高炭素のコークスで温めて強力鍛造すると浸炭してしまうのとギュッと締めてしまう
ので硬くなるのだと思います。
43を本焼き水でやったのが43水です。他の43より失敗が無い様に厚いです。

自分は高橋の極上も極上本焼きも持っていたし、43水が家庭用のサイズだったので
無視していたのですが、親父さんに説得されて・・・買ってしまいました。

あまり造らなかったので、売り切れですが?砥いで見るとこれが硬い・・・・
磨く作業はD15の本焼きと同じ・・・鏡面にするのに苦労しました。
それから砥いで使うと?43とは違う・・・やはり水焼きは違います。

D15の水焼きは高価です。それが2万ちょっとで本焼き水の包丁のようなので
これは、お得。上手く買えた人はラッキーだと思いますよ。

これが高橋刃物の包丁の違いです。
光は焼入れしてから粘りを出すために焼戻しをしてます。
特上光は、焼入れ後更に固くします。
特上43はさらに錆びにくいような材質です。
特上43水は閉店前の一年前に暇な時期にオヤジさんの考えで作りました。
極上は、SX4からD10にD11からD15に変わってきたダイス鋼です。

その他、色々な材料で試しに造った包丁もたくさんあって、
包丁より鉈似合うなとか?斬れるけど錆びるな・・って包丁にしなかった材料も・・・
その中には、ドイツ鋼の錆びるけど切れるぞ~って畳包丁になったものも

4 件のコメント:

  1. 渡辺さんが実は高橋刃物のキーマンだったのですねー
    職人と職人の知恵と技と科学的証明が今の高橋刃物の礎

    素晴らしい。
    親爺さん趣味で続ければ良いのに(笑
    お小遣い稼ぎと思って!
    だまっていられるタイプじゃないと思うのですが(汗

    秘密基地計画はその後進んでいますか?
    僕はまだずべて鏡面にし終わっていませんけど
    のんびりやります(笑

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  2. 梅ちゃん先生って観てる? 自分は一度か二度しか見てませんが?
    戦後のあの時代で好景気が始まり、すべての商品が増産増産って時代で
    包丁も良くても悪くても売れた時代に、オヤジさん達が働いていた鍛冶屋も
    いい加減な包丁を売っていたそうです。それが嫌で昔ながらの作り方を
    ず~と続けてきたそうですよ。
    そこに、あの人が来て…だそうです。
    どうりでHPに包丁の断面を顕微鏡で撮ったのがあるわけです。

    秘密基地…オヤジ様の鍛造機械がとうとう壊れたみたい。オヤジさんの右腕で
    60年使い続けた機会が治らないみたいなので・・・?
    さて?どうなるのか?

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  3. 昨日嫁の包丁を研ぎまして 改めてみてみたら43水(笑
    僕は硬いと思わないなー
    凄く研ぎやすいし、よい刃がつくけど
    嫁は切ったものをまな板の上で 包丁の刃でぎゃーっと寄せる?
    くせ?があるので(汗
    研ぎ時がちょっと遅いと ちっちゃなのこぎり刃になってます(涙
    そうなる前に研がねば!(笑
    サラダが美味しいと思わなかったら 研ぎ時は逃しています(爆

    1年限定商品だったのですねー(笑
    ラッキーです!
    ちなみに娘の嫁入り道具に!と(笑
    1本は包装したまま保管。
    その時がきたら 鏡面加工と研ぎをしっかり決めて持たせる
    つもりです。(笑
    何年先かなー・・・・・。

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  4. 43水は?一年?半年限定じゃぁないかな?
    43水の鏡面にしたときに、耐水ペーパーで磨いたんだけど
    光、や特上光より削れなかったよ~?砥ぎはシャプトン4000番だと砥げますが
    12000番でやると最初は大変だと感じました。43水は焼入れの時に
    割れにくいように、厚めなので曲がらないというか?固く感じるんですよ。

    アルバイトの子は切れるって喜んでいますが…

    2本も買っていたんだ?雑に使っても錆びなくて良いですよね・・・

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