2012年11月13日火曜日

東源正久

東源正金で修行して、独立後、散々圧力を掛けられていた頃

正金とも繋がりが有る東源正久の先代が高橋刃物製作所の包丁の出来を見て

取引をしてくれた築地では唯一の包丁屋、他の有名な刃物屋は正金の圧力で

取引中止・・・そんな中、高橋の刃物が良いのを判ってくれたのが

堺一文字、名古屋ダルマ屋、木屋に居た仕入れ担当の白鷹さんと

東源正久の先代なんです。

東源正金は金属のない時代で、作れば売れるし、問屋にも裏金入金しなければ

卸してあげないという今では信じられない時代で高橋が独立後

儲け主義ばかりで品物は落ちるばかり・・・・品物が無い時代ですから

帝国ホテルの村上さんもホテルオークラの小野さんも当時は使っていました。

そこはプロ・・・だんだん使わなくなって、鍛冶職人が居なくなり・・・

正金の社長が死んだ後は、他所から仕入れ販売をしていた訳です・・・

値段を叩いて昔の名前だけで売っていたものだからプロからの信用も無くなり

みんな他のメーカーに・・・

なので・・・現存する正金の新品はどこで作っていたのか判らない品物・・・

そんな訳有りな包丁で喜んでる方も多いってが理解できないのですが・・・

さて10月で完全に閉店した高橋刃物製作所の残りの包丁と今まで納めせていて

頂いた包丁が有るのは名古屋のダルマ屋さん(名古屋市中村区)、堺一文字、

そして築地東源正久さんにだけ残っているという訳です。

http://tsukiji-masahisa.jp/ 引き続き包丁の修理、砥ぎもやって頂けるように

なるそうです。


確かな品質と技術で皆様のご希望にお応えいたします。

宮大工棟梁西岡さんと高橋の親父さん

一度だけ、日本を代表する宮大工の西岡棟梁が高橋刃物製作所に来たことが有るんです。

皇居の何処かの門の修理で・・・門が傾いていて開け閉めが出来なくなって修復の仕事

だったと聞いています。 白鷹さんから高橋の親父さんの話も聞いていたのでしょう・・・

なんでも当時のままの状態に治せ・・・新しい部品を使うな・・・制約が多くて悩んで

包丁鍛冶屋の親父さんの所へ意見を聞きに来たんだそうです・・・

なんと腰の低い御方なんでしょうね・・・そんな御方に親父さんは、「そんなに触らせもしないなら

門の扉に車を付けたら良いだろうと」・・・・・

結局、暫くしてオヤジ様も気になって門を見に行ったそうです・・・

そうしたら? 車がついてるではないでしょうか?

城と神社とかお寺とか作り方が違う・・・攻めてくる敵に破られないように

強固な扉ですから重さも厚さも違う・・・棟梁も困ったんだろう?

平安時代と江戸時代では、作り方も金属の使い方も金属自体も違うんですね・・・・

きっと棟梁は解っていたはずですが・・・親父さんの発想も大胆で・・・・

結局どういう訳か?そうなったとか?・・・・

後で知ったのですが、棟梁も学者と相当やりあった事があるのだそうです・・・・

職人は職人の話や気持ちまで通じるんでしょうか?

棟梁の口伝えの話の中で職人から芸術が生まれる、芸術家から芸術は生まれない・・・

芸術的な料理を勉強してもダメ、基本をしっかり勉強していけばいつか芸術的な

料理ができるんでしょうね?・・・・基本が大切って事でしょう?

テクニックを使って見栄えの良い盛りつけをしても、基本の味が出来なければダメ

食べる人の口に入る時間を考えての温度とか・・・そんな事を俺も師匠の爺様に

聞いた憶えが有るな・・・ 

棟梁は100人の大工や壁職人などすべての人を束ねる事が出来なければ

棟梁をやめなさい・・・って・・・・

天皇の結婚式の総料理長をやった友達の爺様も同じことを言っていたそうです・・・・

京都の料理人がいくら有名でも1000人の料理をひとりひとり同じに出せる事が

出来ないから、修善寺の料理人が選ばれた・・・数十人の職人を使って

1000人以上の料理を出せるのが一流の料理人で、家族数人の料理なら

家庭の奥さんでも美味しく作れるだろ・・・とか・・・?

全く・・・足元にも及びません・・・

高橋のオヤジ様はそんな棟梁をびっくりさせる面白さがあるんですよ・・・・

高橋のオヤジさんは、いつも兄弟喧嘩の原因を作る人で人を束ねる人では

無いけれど・・・・魅力があるんですよ・・・笑




2012年11月12日月曜日

包丁を大事にする

店のお客さんの包丁を閉店後、砥いでいます。

自分の持っていないメーカーや金属で何が違うかを知るために・・・

70代、80代の奥さんの包丁だったり若い人の包丁だったりいろいろです。

有名な包丁ではなく、手入れも悪いと恥ずかしがってなかなか持ってきません・・・

使いやすかったり、嫁に行くときに親から頂いた包丁だったり本人には大切な包丁

だったりするわけです。だからこれは良くない包丁なんて絶対に言ってはいけない

もんです。サビ取りをしてなるべくその人が使いやすいように砥いであげます・・・

新品までとはいけませんが、手入れしてあげると喜んでくれて自分の包丁の歴史を

教えてくれます。

自分も高橋の極上より光に愛着が有るのもそんなところで当時の給料の割合から

比べたら今の極上より高価だし・・・笑

包丁の研ぎ方も人それぞれでこれが一番ってのも無くて・・・

貧乏な自分に合わせての砥ぎで包丁が長生きしてくれました。

本来なら小さくなって使いづらく見えますが、本人はなれているので使いやす・・・

自分の使い方に合った研ぎ方をしたら言いんだと思います。

流石に一様プロなので、切れれば良いとかは無いのですが自分なりに

工夫をして長斬れする砥ぎと使い方をあれこれ考えているだけでして・・・

ただし、刃物好きやプロの料理人には厳しい意見を言います・・・

プロには高価な極上も平気で使えなんてことも・・・

仕事の道具として、道具の包丁でいくら稼ぐのよ?って事です・・・

もしプロが切れてなんぼよ・・・なんていうやつとは料理人として口を聞きたくもありません・・

料理は一番大切な人に・・・大好きな人の為にと作れば美味しいものができるんです

それには科学的な事やいろんな経験と技術と道具を使ってできると

考えれば道具も大切にするし、皿一枚でも大切にする・・・これが大事なんだと

思うんですよね・・・技や技術だけでは美味しいものはできないと思っています。

美味しいものを作るために自分で工夫して包丁の砥ぎを試してくださいな・・・

2012年11月9日金曜日

包丁仲間


高橋刃物製作所の包丁仲間? 夏休みに母親と一緒に料理を作った時の思い出を

夏休みの宿題の絵にしたそうです・・・高橋刃物の特徴がうまく描かれてますよね

ポテトサラダを母親と一緒に作ってる場面だそうです・・・

本当はハガネの包丁が良い

斬れ味、斬れ止まり、研ぎやすさ・・・ハガネの包丁の方がよく感じるもんです。

それは、ステンの研ぎにくさ、斬れ味の感じ、斬れどまりが完全に切れなくなるからでして

錆びないで少々手荒に使っても刃が欠けなければもっと良い

これは使う人もそうですが、鍛冶屋は皆思うこと・・・でもね・・・ステンとハガネの性質が

違うから同じように造っても鋼にかなわない・・・もしステンが先にあってハガネが後なら?

鍛冶屋はどう考えるだろうか? 同じに叩いたらアメのように伸びて使い物にならん?

なんて風潮も出るかも? 高橋で作った白紙を使った鉈で竹を切ったら切れるんだけど

疲れてきてグリップがゆるくなって横の力が入ったらパキンって大きく欠けた・・・

斬れるけど・・・なんだ弱いな?と感じたわけです。これは俺の知識がないだけで

えぐるような力には弱い・・・ステンレスのように粘りっていうか物が違うせいでして

そういう金属の性質だからです。

刃が丸まったステンレスの斧はまるで切れない・・・力で切断するだけ・・・

そんな話から・・・オヤジさんは、錆びないで切れる包丁を作ろうと考えたわけです。

粘りがある分固く感じて、普通に叩いても密にならないから焼入れしても性質が

変わりにくい・・・刃が付きにくい・・・鋼に追いつかない・・・

何千年も昔から日本で作られて伝えられてきた物と数十年前に日本で使われるように

なったステン・・・話になりません・・・誰もハガネの包丁を超えることが出来ない・・・・

機会を改造して、焼入れの温度を変えて、セブプロなどを工程に入れて

更に誰も考えない方法を取り入れて・・・ハガネに近い包丁が出来上がったんです。

これで良いとしないオヤジさんは特殊鋼から本焼き水冷却まで行って・・・

本来、特殊鋼は本焼きなどしなくても十分な包丁になるんです。

鋼材メーカーも本焼きをするとバラバラに砕ける・・・メーカーが試すとできないんですよ。

極上のD15はそんな金属なのです。 60年の経験でハガネに近づいた?

条件によっては上廻った刃物を作り上げました。

後は、使う人の砥ぎ・・・ハガネと違うのだから違う砥ぎが必要でして・・・これが難しい・・・

普通に切れる包丁にするだけなら5000番の仕上げで十分・・・


斬れ止まり・・・これも金属組織が違うために小さなノコギリ状態よりも大きなノコギリ状態に

すると同じぐらい長斬れします。では・・・斬れ味・・・これはやはり細かなノコギリ状態でないと

同じ感覚になりません・・・細い大きなノコギリ状態で耐えるだけの砥の角度が必要です。

こうすると同じような感覚で長斬れする包丁にできるような?感じです・・・

ですが、まな板を叩くようなやり方ではダメです。刺身包丁に適してる研ぎ方だと思ってください。

和食の店でも必ずあるのがステンレスの牛刀・・・錆びない、使いやすいはステンレスなんです。

和食は和包丁は良いものを買いますが、ステンレスはそんなこと考えず買います。

なので和食の人はステンレスなんて?というのだと思えるんです・・・

和食の人が高橋の特殊鋼の和包丁を使えば、錆びないし切れるし長斬れするし・・・

きっと喜ぶと思います。 そうなればオヤジ様の60年は千年を超えるか近づけるという

お話でした。 そこまでの包丁なので使いきれるかが問題なのですが・・・・

2012年11月8日木曜日

包丁は刃を動かして切る道具

一般の人もそうですが、目黒君の使い方も・・・実は時々俺もですが・・・

切れる庖丁だと物を切るときに最初だけ庖丁を動かして、切れ始めると

真下に下ろすだけ・・・トマトなんか切れにくい皮が切れると後は包丁を動かさないで

切りませんか? 皮だけ切れれば切れてしまうから、後は斧の使い方ではないですか?

切れ終わる前に庖丁の刃で切らない・・・・




目黒来んの包丁も本人が一生懸命砥いでるので、刃を動かさないでも人参が
 切れています。なので解りづらいのですが、刃が垂直に動くだけなんで斧の動きです・・・
 僅かながらも自分の切り方は、包丁の刃を動かして切っています。動かしているというより
 刃が切っているところが変わってるように見えませんか?
 
皆さんが切れなくなったと感じる包丁でも刃を動かすと割と切れるんです。

ココがポイントでして皆さんが刃先を薄くしてしまう原因で早く切れなくなると感じるのでは?

こうなると、どんな包丁でも刃先を細くする・・・欠ける原因になるのだと感じるのですが?

家庭では、小さい牛刀か三徳一本で切る作業をすると歯の全部を同じに細く砥ぐと

一見、キレが良くなりますが・・・硬いものを切ると刃が欠けます・・・では刃のどの部分かと

言うと顎・・根元に近いところ・・・包丁の先の方で力を入れて切る人はいないと思うのですが

欠けずに切れる包丁にしたければ・・・家庭用とか出刃は、包丁の根元は斧、真ん中は

牛刀、先はペティーのイメージで砥ぐと一本だけでも欠けず切れる包丁の砥ぎになると

感じるようです。プロは何本もの包丁を使い分けて使うのですが若干なれどそういう

研ぎ方をします。欠けるとその分全体に研ぎ直しするので早く寿命が来てしまいます。


 倍率30倍ぐらいでしょうか?図分の極上牛刀のはの拡大画像です。細かく刃がノコギリのように
刃がなっているのがわかると思います。ノコギリで木を叩いて切る人はいないでしょう?
包丁の刃も叩くとノコギリ状態の刃が潰れて切れなくなります。普通に切っていくとこのノコギリ
状態も丸くなって切れなくなります。 ハガネとステンレスはハガネの方が長斬れすると感じるのも
この辺の金属の性質なんです。ハガネは少しづつ物を切っていくと削れて行くというか?
極小さく剥がれていく・・・ステン系は剥がれず丸くなる・・・なのでステン系は切れなくなると
ツルツルして切れない感覚になるんだと思います。なので本当にうまく1万以上の砥石で砥ぐと
最初からツルツルで切れない状態になっている時があると思います。ハガネが砕いた石の集まりと
するとステン系は丸い石の集まりと考えると理解できるでしょうか?モノの例えとしてですが・・・

同じ砥石で同じ研ぎでも材質が違うので、同じ切れにするのには少しのテクニックが有るんです
これは安い包丁でも高い包丁でも材質によって研ぎ替えると切れる包丁になるんですよ。
高橋の包丁は何故良いか・・・ステン系の金属をハガネの上等な金属と同じようにする為に
強力な鍛造をきめ細くやるので金属の密度が上がるからなんです。手でハンマーを叩くぐらいでは
ステン系金属は密にならないそうです・・・ここまで叩ける機械に改造したから出来るものでして
出来なかったメーカーはステンは叩いても意味が無いという訳です。なので高橋のステン系の
包丁も欠ける・・・ただし小さく欠ける・・・これがハガネだと大きく欠けるの違いでして
本焼きのハガネの良い物は大きく欠けるので扱いが難しいのだと考えています。ステンレスの
場合、粘りが元々有るので欠けないのですがね・・・・凍った物を切れると高橋は宣伝していますが
ステン系はこの性質が有るので粘りで刃が欠けない・・・にくい・・・ハガネの性質は温度が低いと
欠け易いのではなく金属の添加物が入ってないのでつなぎ止めないので欠けると理解してくれると
小学生でも解ると思えます。ピュアな和包丁は寒い冬の朝に冷たい時には包丁砥はしない・・・
これも昔からの常識でしてうんと寒い所では包丁が鳴くんですよ・・・

また、話が飛び過ぎましたが・・・包丁は刃を動かして斬る道具です。

2012年11月7日水曜日

関西の包丁と関東の庖丁

苦し紛れで・・・関東の鍛冶屋はこっちのほうが硬い・・・って?
それは堺の包丁の仕上がりが良すぎてべっぴんさんで
関東の包丁の仕上げに比べると・・・そんな話を親父さんとヒソヒソ話・・・

和包丁の本焼きの波紋の正確差は関西の勝ち・・・
焼入れの時に粘土を着けて焼くのですが、鉄の収縮で模様の形も
少しは動くんですよ。それを考慮して土置きするのですが真似を出来ない・・・

確かに江戸砥ぎって刃先の形状などの特徴もあるんだそうですが・・・
包丁の美しさは西の勝ち・・・

同じハガネで焼入れしてそれ程高度の違いが有る訳無い・・・オヤジ様の意見。

オヤジ様の堺の名人が作った蛸引きを持っているのですがそれは素晴らしい

模様になっています。まるで絵に書いた日本刀のようです。

本焼きと日本刀が同じだと思っている人も多いのでは?

脇差とか短い刀は同じように作るのだそうですが

長い日本刀とは作り方が全然違うので「俺の包丁は日本刀と同じだぞ」なんて言ったら

馬鹿にされますよ・・・長いのは柔らかいハガネの芯鉄に刃に硬いハガネ

それに少し柔らかいハガネを包みこんで合わせる・・・?こんな説明で良いのかな?

そうでもしなければ合戦で簡単に折れてしまいます・・・かなり初心者向けな話ですが

だから本焼きに拘る事もないわけでは無いかと・・・・思ったりする訳です・・・

上手くできた本焼きは歪んだりしないので、霞に比べると長い年月でもビッシとしてる訳で

霞だってうまく作れば良いものなんだと思えます。金額も違うしね・・・

焼入れもハガネの方がムラが出来やすい・・・包丁を砥いでみると僅かな引きずりを

感じたりします。包丁をピカピカに磨くと色の違いで判るような?解らないような?

若干の違いが砥いでて判るようになった気がします・・・?

おやじさん曰く、特殊鋼の難しさは焼きの温度の幅が僅かにハガネより少ないだけで

ハガネの焼きムラをどうコントロールするかの方が難しいよ・・・って言ってました。

どちらも難しそうですが・・・・元々、オヤジ様兄弟は牛刀作りが最初で

オヤジ様は研究熱心だから日本全国のこの包丁はこの人とか・・・

東京の名人が作った柳とか堺の名人が作った蛸引きとか・・・

今はもう死んでいない人の作品だから宝ですね・・・・

なので高橋の包丁は最初は色気が無い・・・使って砥いで磨いてべっぴんさんに

するしかない・・・・べっぴんさんに育てる面白さは絶対のあります。

白鷹さんも名古屋のだるま屋さんの先代もひと目で高橋の包丁は良いって

判断したそうです。俺なんか使い込まなければ判らないし、たまたま使い始めたのが

高橋の包丁で他の包丁を使って判ったような?

良い包丁が最初から欲しかったら化粧で仕上げた包丁か有名な所の

包丁にしていたかもなんで、高橋の包丁を買ってきてそのまま画像で

出したら皆さんも関心を示さなかったかも????(笑)

極上の牛刀でも買ってきたのをそのままだとこんな感じ・・・・ヘアライン仕上げ・・・